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「セックス・アンド・ザ・シティ」(1998〜2004)のクリエイター、ダーレン・スターが手がけるとあって、配信前から期待値の高かったNetflix製作のドラマ「エミリー、パリへ行く」(2020)。

リリー・コリンズ演じるシカゴ在住アメリカ人のエミリーがパリで働くチャンスを手に入れ、フランス語やフランスの文化に奮闘しながらサクセスして行く──というストーリー。スタイリングを「SATC」と同様にパトリシア・フィールドが担当していることもあり、華やかなファッションも楽しみのひとつ。まさに「ゴシップガール」(2007〜2012)と『プラダを着た悪魔』(2006)を足して2で割ったような作品。

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そんな本作で私が注目したのが、エミリーの意地悪な女上司役(『プラダを着た悪魔』でいうメリル・ストリープの役柄)シルヴィーを演じる女優、フィリピーヌ・ルロワ=ボリューだ。常に巻き髪にメイクばっちりのエミリーに対し、シルヴィーは無造作ヘアにナチュラルメイク。ファッションも、派手色×ミニスカートのエミリーに対して、モノトーンでシンプルシックなシルヴィーという“アメリカンガール”V.S.“パリジェンヌ”の対比がわかりやすく、興味深い。

イタリア出身のフィリピーヌは現在57歳と知り、そのアラカンには見えない“現役感”と美しさに驚く。劇中での彼女は、アラサーのリリーにも負けない(むしろ勝っているかも)女性らしくセクシーな魅力に溢れているのだ。シンプルながらスリットの深いタイトスカートを見事に着こなす、スラリとしたスタイル。タバコを燻らせシックな装いに身を包む姿は、私がイメージするコケティッシュなパリジェンヌのイメージそのもの。

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そんな彼女を見ていると、よく耳にする「パリでは40過ぎの女性がモテる」という話が、俄然、真実味を帯びてくる。ベッドから起きたてのようなヘアスタイルや、赤リップを塗っただけのシンプルメイクなど、作為的な「エフォートレス」を全力で演じるパリジェンヌだからこそ、その演技力が熟練の域に達した大人の女性たちが素敵に見えるのは、当然のことなのかもしれない。

フィリピーヌの肌を露出した着こなしがイタく見えないのは、念入りにケアしたボディと、あえて手をかけないヘアメイクの効果。もしもヘアもメイクも完璧に整えてしまったら、それはきっとトゥーマッチになってしまうだろう。「気合いが入りすぎる」ことは、パリジェンヌが目指すシックとは対極のものだ。

ヘアメイクとファッションの抜け感の足し引きバランス。この加減が絶妙。そして、大人の女性としての魅力の輝かせ方も、とても参考になる。

そんなわけで、「SATC」をバイブルにしてきたアラフォー、アラフィフ世代が次に目指すべき美のあり方を示してくれるようなフィリピーヌは、新たなおしゃれアイコンとして注目されそう。そして私は早速、スリット入りタイトスカートを買いに走った。

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